iSPP「東日本大震災 情報行動調査報告書」を一般公開します。

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iSPP_情報行動調査報告書2011

 東日本大震災から7年目にあたり、情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)が震災直後に実施した「情報行動調査」の報告書を一般公開します。
被災地の復興と今後の災害の備えにご利用いただければ幸いです。

 本調査報告書は、岩手・宮城・福島 3 県の被災地の住民を対象に、インターネットを利用したアンケート調査と、調査員による個別面談調査の 2 種類の調査結果に基づき、まとめられています。

 アンケート調査は 7 月初旬~中旬に実施され、有効回答数 2815 件。面談調査は7月初旬~末に実施され、有効回答数186件でした。アンケート調査と面談調査による有効回答の合計は 3001 件で、岩手・宮城・福島 3 県の 183 市町村の住民から回答を得ています。

 調査では主として、被災地の住民が、地震発生直後、1 週間程度、1 カ月程度、3 カ月程度の 4 つの時点で、どのような情報を必要とし、それをどの機器やツールを使って入手・発信・活用したか、あるいは利用できなかったか、などを尋ねています。

 本調査報告書は、被災地の住民を、岩手・宮城・福島各県の内陸部・沿岸部の 6 つの地域に区分し、各地域の 4 つの時点での情報行動を捉え、その時系列変化や地域による異同を明らかにして、被災時の情報行動を総合的に分析したものです。さらに、この分析に基づき、災害時の情報の有効な利用法や、今後の施策・政策・サービスへ向けた提言をまとめています。

● 主な調査結果

1. 地震発生から時間が経過するにつれ、利用された情報機器や情報源は大きく異なった。地震発生直後は、ラジオやワンセグ放送が利用できたが、テレビ、インターネット、携帯はほとんど利用できなかった。1 週間程度から 1 カ月程度までになると、テレビ、新聞などが役に立った。

2. 情報行動の地域差が大きく、岩手県・宮城県は内陸部・沿岸部とも、地震発生から約1週間、「情報の空白地域」となった。この期間、これらの地域では、テレビ、パソコン、固定電話はほとんど使えなかった。津波に加え、停電の影響も非常に大きかった。

3. 電池式のラジオやワンセグ放送はふだんよりも利用され、避難の役に立ったとの回答がある。

4. 携帯電話に対する不満が、発生直後に集中した。ただし、携帯電話の通話やメールが安否確認に役立ったとする回答はおのおの過半数を超え、他の情報手段を大きく引き離した。不満は、携帯電話への依存度の高さを示している。

5. テレビ・ラジオに対して、津波や原発に関する報道のあり方について批判・不信が多かった。

6. インターネットは、地震発生直後は利用が大きく落ち込んだ。アクセスできた人の間では、ヤフー、ツイッター、グーグルが役に立った。SNS では、ツイッターとミクシィがよく使われたが、グリー、モバゲー、フェイスブック、ユーストリームなどは発生直後から 3 カ月程度まで、震災以前の水準に戻らなかった。

7. 携帯電話による災害伝言板や 171 などの安全確認サービスはほとんど使われず、有用度がきわめて低かった。