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プレスリリース iSPP 「東日本大震災 情報行動調査」(速報版)

東日本大震災 情報行動調査(速報版) ダウンロード(PDF)

2011年7月26日
情報支援プロボノ・プラットフォーム

東日本大震災における迅速な復興に寄与することを目指す非営利団体「情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)」は、被災地域の住民を対象に、震災発生直後から3 カ月後までの情報行動について調査した「情報行動調査」を実施しました。
本調査は、岩手・宮城・福島の東北3 県の被災地域に居住する10 代~60 代の男女を対象に、インターネット経由で7 月初旬~中旬に実施したもので、有効回答:2815 件を得ています。

主な調査内容は、実際に震災に遭遇された被災地域の住民の皆さんが、必要な情報をどのように入手・発信・活用したか、あるいは利用できなかったか、それらの要因は何であったかなどを、「震災当日」「1 週間程度まで」「1 カ月程度まで」「3 カ月程度まで」の時系列および内陸部・沿岸部などの被災地域を軸にして、情報取得行動を調査・分析したものです。
東北3 県の被災地域を対象とした情報行動調査としては範囲と内容・規模(対象者数:2815 名)において、初めての本格的な大規模調査報告となります。

iSPP では、この調査と並行して、地元関係者が調査員となり、被災地の方に直接お会いしてお話をお聞きした個別面談調査を実施し、ネット調査の定量性を補完する定性的な調査結果を集計・分析中です。面談調査の対象者にはネット利用などのIT リテラシーが必ずしも高くない方も多く含まれ、災害時における情報行動がより詳細に理解できる内容となっています。さらに、地元関係者によるヒアリングは、被災された方々の実情や想いを引き出すことに成功しています。

両者を合わせ、今後の災害時における政策、サービスなどに資する提言を含めた報告書を8 月中旬に発表する予定です。

■調査概要
・ 調査対象:岩手県、宮城県、福島県の住民(10代~60代男女)
・ 有効回答件数:2815件
・ 調査方法:インターネットによるアンケート
・ 調査期間:2011年7月4日~11日
・ 調査内容:地震発生時カら3カ月後までに必要とした情報/利用した情報機器・ツール/役に立った情報源など
・ 詳細報告:2011年 8月中旬公表(予定)

■プレスリリース 東日本大震災 情報行動調査(速報版)ダウンロード(PDF)

利用された情報ツール、機器 : 震災当日はラジオがトップ

図1 利用された情報ツール/機器 (%) N=2815

震災以前は、テレビ(87.2%)、パソコンによるインターネット(81.3%)、携帯電話(スマートフォン以外、63.6%)、ラジオ(46.6%)、固定電話(27.7%)の順で利用されていた。
それが、震災当日はラジオ(67.5%)が発生以前を大きく上回った半面、携帯電話(37.5%)、テレビ(33.4%)、インターネット(19.5%)、固定電話(7.7%)は、発生以前の半分以下と、停電、通信インフラの損壊、通話規制などの影響で十分には利用できなかったことが示された。

1週間まででも、ラジオ(75.0%)は依然としてトップで、テレビ(71.2%)、携帯電話(54.7%)、インターネット(52.8%)も回復したが、震災以前の水準までには戻っていない。1カ月から3カ月になると、各機器・ツールとも震災以前の水準にほぼ戻ったが、その中では固定電話の利用が、震災以前の水準をかなり上回ったことが注目される。

役に立った情報源 : 震災当日はラジオ、テレビ、ワンセグ放送の順

図2 役に立った情報源 (%) N=2815

役に立った情報源では、震災当日はラジオ(64.7%)トップで、2位がテレビ(32.1%)、3位にワンセグ放送(24.2%)が入り、停電の中、ラジオとワンセグが使えたという事実が示されている。近隣の人からの口コミ情報も、新聞についで6位に入った。ホームページやSNSなどのインターネットサービス(18.9%)、新聞(14.7%)、電子メール(13.9%)、携帯電話による通話(11.4%)、固定電話(3.5%)などは、いずれも震災前の水準を下回り、厳しい状況の中、効果的な利用が難しかったことを示している。
1週間後になると、テレビ(66.1%)がトップに復帰し、ラジオ(61.2%)、インターネット(38.8%)、新聞(36.7%)と続き、依然ラジオが頼りにされているが、他の情報源も回復したことが示され、1カ月後までにはほぼ震災前の水準に戻り、3カ月後も同様であった。

インターネット、当日は利用落ち込んだが、ヤフー、ツイッター、グーグル、自治体などが役立った

図3 インターネット利用について (%) N=2815

インターネットについては、全体の61.0%が震災以前は「ふだん利用していた」と答えたが、震災後は「役に立った」という回答は、当日が18.9%、1週間後で38.8%、1カ月後では53.0%だった。
インターネット上でのサービスで「役に立った」という回答は、ふだんはヤフー(51.4%)、グーグル(33.1%)、楽天(27.4%)、アマゾン(27.4%)、気象庁(16.6%)の順だが、当日はヤフー(10.1%)、ツイッター(6.5%)、グーグル(5.8%)、自治体(5.5%)の順で、全体の利用が減少した中、ツイッターや自治体が目立つ。
3カ月後では、ヤフー(61.8%)、自治体(43.1%)、グーグル(37.7%)、電気・水道・ガスなどインフラ情報(20.9%)、新聞社(20.1%)が上位に入り、被災地で必要とされた情報源がわかる。ツイッターとミクシィも時間の経過とともに上位に入ってきたが、震災前に利用が多かった楽天やアマゾン、ニコニコ動画などは低位にとどまった。

沿岸部と内陸部について

なお、詳細は追って分析した上で公表する予定だが、津波被害の激しかった沿岸部と地震被害が中心だった内陸部については、利用された機器、ツールは震災以前、当日とも、地域差はほとんどなかった。

1週間後以降では、沿岸部ではパソコンによるインターネット、テレビ、携帯電話、固定電話などの利用がいずれも低く、電気や通信のインフラの復旧の遅れを示している。

表1は、インターネット経由の調査の回答者の地域分布を示すものである。

表1 回答者の地域分布

全 体 岩手県 宮城県 福島県
内陸部 778 670 693 2141
沿岸部 121 352 201 674
899 1022 894 2815

 

●参考: 「東日本大震災 情報行動調査」 調査項目 (インターネット経由)

Q1 東日本大震災の地震発生時は、あなたはどちらにいましたか。
Q2 そのとき、同居のご家族はどこにいましたか。
Q3 今回の震災で、自宅以外のところに避難をされましたか?
Q4 ふだん、どのような情報ツールや機器を利用されていましたか?
Q5 ふだん、どのような情報源をよく利用されていましたか?
Q6 ふだん、どのようなインターネットサービスを利用されていましたか?
Q7 発生から、避難までの数時間、どのような情報が必要でしたか?
Q8 発生から、避難までの数時間、どのようなインターネットサービスが役に立ちましたか?
Q9 発生から、避難までの数時間、どのような情報ツールや機器が利用できましたか?
Q10 発生から、避難までの数時間、どのような情報源が役に立ちましたか?
Q11 情報源として役に立った点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q12 情報源として不満だった点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q13 発生当日から1週間程度まで、どのような情報源が役に立ちましたか?
Q14 発生当日から1週間程度まで、どのようなインターネットサービスが役に立ちましたか?
Q15発生当日から1週間程度まで、情報源として役に立った点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q16 発生当日から1週間程度まで、情報源として不満だった点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q17 地震発生1週間から1カ月程度まで、どのような情報が必要でしたか?
Q18 地震発生1週間から1カ月程度まで、どのような情報ツールや機器が利用できましたか?
Q19 地震発生1週間から1カ月程度まで、どのような情報源が役に立ちましたか?
Q20 地震発生1週間から1カ月程度まで、どのようなインターネットサービスが役に立ちましたか?
Q21 地震発生1週間から1カ月程度まで、情報源として役に立った点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q22 地震発生1週間から1カ月程度まで、情報源として不満だった点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q23 ご家族の安否確認にはどのような情報源が役に立ちましか?
Q24 ご家族全員の安否が確認できるまで、地震発生後どの程度の時間がかかりましたか?
Q25 よろしければご家族の安否確認が取れた時期や状況について、具体的に教えてください。
Q26 ご家族の安否確認において困ったことや、情報提供する方法に不満や要望があればお教えください。
Q27 発生1カ月から3カ月程度まで、どのような情報が必要でしたか?
Q28 発生1カ月から3カ月程度まで、どのような情報ツールや機器が利用できましたか?
Q29 発生1カ月から3カ月程度まで、どのような情報源が役に立ちましたか?
Q30 発生1カ月から3カ月程度まで、どのようなインターネットサービスが役に立ちましたか?
Q31 発生1カ月から3カ月程度まで、情報源として役に立った点を、機器、番組やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q32 発生1カ月から3カ月程度まで、情報源として不満だった点を、機器、番組名やサービス名を具体的にあげてお教えください。
Q33 企業(主に通信会社やマスコミ)に対してご意見やご要望があればお聞かせください。
Q34 震災発生から現在までを振り返って、あればよかったと思うモノや情報、サービスなどできるだけ具体的に教えてください。(現在ないもので、今後欲しい・必要と思うものでもかまいません)
Q35 避難所では、パソコンなどでインターネットが利用できましたか?
Q36 避難所でのインターネット利用はどのような状況ですか?
Q37 避難所のインターネットの回線の種類は以下のどれですか?
Q38 あなたは、避難所でインターネットをどの程度お使いになります(なりました)か?
Q39 避難所でのインターネットの利用環境について、ご要望やご意見をお教えください。
Q40 役所やマスコミなど、関係各方面にご要望やご意見があれば何でも結構ですのでお教えください。
Q41 東日本大震災発生時点と、震災後(現在)の、あなたの居住地をお答えください。
Q42 東日本大震災発生時点でのご職業をお答えください。
Q43 あなたには現在、同居されている配偶者の方がいらっしゃいますか。
Q44 あなたは現在、以下の方(ご自身の子ども/ご自身もしくは配偶者の親)と同居されていますか。
それぞれ同居されている方の人数をお書きください。
Q45その他、配偶者、お子様、ご自身もしくは配偶者の親以外で現在、あなたと同居されている方はいらっしゃいますか。
Q46 今回の震災で、以下の方(ご家族、親戚、友人・知人)はどのような被害を受けられましたか?
Q47 今回の震災で、お住まいの家屋はどのような被害を受けられましたか?
Q48 今回の震災で、あなたのご職業に変化はありましたか?

●本件のお問い合わせ先
情報支援プロボノ・プラットフォーム 事務局
〒150-0011 東京都渋谷区東3-22-8サワダビル4F
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