活動報告

見えてきたプロジェクト【4月21日報告資料より】

情報支援プロボノ・プラットフォームでは、被災地のニーズに沿ったプロジェクトに取り組みつつあります。
2011 年 4 月 21 の会議では、見えてきたプロジェクトとして、いくつかのプロジェクトが紹介されました。
これらの取り組みに、ご興味、ご支援いただけるようでしたら、メーリングリストへ登録、あるいはお気軽に事務局までお問い合わせください


1 インターネット接続サービスの復旧(三陸沿岸、仙台南部など)

津波や震災でインターネット接続サービスが壊滅した地域には、少しでも早くその復旧を図る必要がある。総務省、地元の県・市町村では、インターネット接続についての被害実態は、残念ながらまだ十分には把握できていない。気仙沼のインターネット接続サービスの利用者は、ケーブルテレビK-NET経由が大半で、3000加入あったが、津波によりK-NETの基幹設備は建物ごと完全流失し、会社はテレビの復旧で精一杯で、インターネットについての取り組みは諦めているという。衛星とWiFiの組合せによる暫定サービスも計画されているが、一部エリアの少数利用者に限定され、本格的な復旧は、NTT東日本によるインフラ再構築、ADSL利用、携帯(3G)などに頼るほかないとみられる。行政・事業者間の連携を実現し、他の津波被災地などでも類似の状況が想定でき、この部分を加速させることが求められるのではないか。


2 避難所・被災者へのインターネット接続環境提供(岩手、宮城、福島など全域)

地震発生後しばらくは、 NTTなどによるインターネットの提供申入れは、優先度が低い、電源の問題などから受け入れられなかったところも多い。現在はNTT、UQ、 IT支援隊などが避難所へのアクセスと、PCと接続ルーターなどの提供を始めている。しかし避難所の総数に対して、これらの取組みは十分とはいえない。ヨコの連携を含めて、被災者側のニーズの確認、受付け作業が必要と思われる。


3 避難所の個別ニーズ支援(全域)

避難所および自主避難者のニーズを掘り下げ、彼らの自立を支援するシステムの提供が重要。個別ニーズに対応した物資配送支援システム。インターネット通販、物流事業者、NPOなどの参加が考えられる。


4 ボランティアの受付、登録、送り出しの運用システム

仙台のNPO連携センターが実際に必要。iSPPメーリングリストで呼びかけ、IBMがこれに答えて、SAHANAによる提供を行う話が進んでいる。今後、ボランティアの派遣が進むにつれ、APIを共通にするなどの方法で、個別システムを連携利用できるようにすることが求められる。


5 情報ボランティアの派遣

避難所や自主避難者にネット経由で肌理の細かいサービスを提供するためには、ネットリテラシーの低い人々を支援できる人を現地で育成する必要があり、そのための「情報ボランティア」が必要と考えられる。一定のスキルをもった人々を募り、基本オリエンテーションを実施したうえで避難所などに派遣することが有効、必要と考えられる。


6 Hack for Tohoku(まず仙台周辺で開催)→運営協力

被災地側で必要としている情報サービスを、実際に被害を遭った側の人々と優秀なエンジニアとが協働して実現するイベント、Hack for Japan の東北版の開催検討。東北地方の産業振興は、今後の復旧、復興にとって重要、イベントの定期的開催は、地元IT産業の底上げ、人材育成につながると期待。


7 災害現場の実態保存、記録、防災教育、歴史の継承(とくに津波被災地域)

津波による激甚な災害の状況は、実態を保存、記録し、防災教育、後世への歴史の継承のために語り継がれる必要。気仙沼市のリアス・アーク美術館は三陸海岸随一の美術館で、最近津波の展示会を開催したばかり。問題意識をもつ現地の博物館・美術館は、未来に向かって被害の保存、教訓を保存・伝承する使命をもち、全国的な支援のもとに、そうした拠点へと進化する必要がある。気仙沼に限らず、被害を受けた沿岸都市に共通の課題。


8 放射線被害への報道改善

放射能の風評被害に対抗する有効な対策が見いだせず、苦慮している。その一端はマスメディアの不用意でセンセーショナルな報道のあり方にある。市民の目線に立ったジャーナリストを現地に派遣し、地元の市民の生の声を的確にとらえ、ネット経由で戦略的に伝達することが有効と考えられる。


9 コミュニティ災害FMのサイト構築(2次避難先への情報提供)

被災地コミュニティにおける情報収集については、コミュニティ災害FMが有力な手段となっているため、携帯サイト等によって放送のリアルタイム性を補完する情報提供を支援する。これから発生する遠隔地への2次避難先での情報収集としても有効


10 情報システムを連携を支援するための共通APIの策定

被災地向けの情報サイトは多数立ち上がっているが、情報ソースが安定せず情報の網羅性、正確性、最新性が維持できず、結果として被災地と支援地双方で情報が活用されていない状況となっている。このような状況を改善するには、オープン性の高い共通APIを策定して共同利用することが有効。


11 ブランド復興のための広報活動

被災地における復興のためには、特産品や観光地等含めた被災地全体のブランドを復興させるための広報活動が重要である。対象としては海外含めた国内外への情報発信が必要。


12 情報支援活動のインデックス化

コーディネート活動を行うための基礎資料として、また独自プロジェクトを活動ドメイン策定のために、情報支援活動全体のインデックス化を行う。活動に参加を希望するプロボノの判断資料としても必要。